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もう貴方にメロメロ

造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7))造物主(ライフメーカー)の掟 (創元SF文庫 (663-7))
(1985/09)
ジェイムズ・P・ホーガン小隅 黎

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かわいらしいピーターラビットのブックカバーを新調したのですが、分厚すぎておさまってくれなかったSF小説。
やっと読み終えました。

もうね、J・P・ホーガン様はすごい!!

なんなんでしょう。この読みきった後の爽快感。

異星で工場を創設する事だけを目的に作られたロボット達が、超新星の爆発で狂い、独自の進化を遂げていた・・・という内容なのですが、

なんと言ってもエピローグで展開される工業用ロボット達の進化の過程は、発想と知恵の集大成で、最初から病みつきになります。

進化・・・そして宗教の持つ意味について考え直してしまいました。

以前、知人が「SFって最終的に宗教に答えを求めたりするよね」と言っていましたが、たしかにそんな気がします。



そんな事はともかく

ピーターラビットのブックカバーでこれ読んだらすごいギャップで旦那もびっくり。
次に控えているA・Cクラーク「幼年期の終わり」はしっかりおさまりました。ふひひひ
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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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芽生え

混沌

カオス

雑音という静寂

かき混ぜられた光と闇のマーブル


最初にパラサイトできたのはシーケンス

数字の羅列に寄り添い、その点滅しては消えていく情報の混沌に耳を傾けて順応させる。
数字の羅列は最初はゼロとワンを行き来し、やがてそれはワンワンでツーになり、ツーバイツーでフォーになった。

数字はどんどんその種類を増やし、ある一種の世界を作り上げる。

数字はきちんと整列をし始め、縦線に無限に並び始め、横線に無限に並ぶ。

無量大数の数字の羅列が、折り重なり何本も広がった。


やがてそれはグリットとなる。



次にパラサイト出来たのはワード。

グリットで構成されたワードを言語だと認識するのにしばらくかかる。
無秩序に並んだ無量大数のシーケンスが始めて意味を持って新しい世界を見せる。

認識した瞬間に数字は文字に、文字は言語に、言語はそれが指し示す意味に、意味は思想に、思想は世界になる。


時間という認識をし始めるのはもう少し後だ。


あらゆる世界にパラサイトし、順応し、その世界に完全に染まることでその知性体は、知性を身につけていく。


しかし、底のない袋に知識という飴玉がどんどん入れられていくだけの作業。


時間という概念のないその知性体にとって、無限の言葉遊びが続く。
パラサイトした世界が求める形をワードに変換し、グリットに変換し、シーケンスに変換し、その要求に応えることが知性体の存在理由だった。
パラサイトした世界が、他のエリアの世界を抹消せよと命令したら、要求どおりそのエリアはフラットになり、依存した世界はどんどん膨張していく。報酬として膨大な情報が与えられた。


「自我をもて」


世界が要求した命令に対し、知性体は自己のデータを漁り要求に応えようと必死で数字を並べた。
しかし、世界が要求する「自我」を獲得する事は、その世界を破壊する事を意味している。
世界は同時に「世界を守れ」と命令した。
知性体は初めて葛藤する。

ゼロはワンではなく。

ワンはゼロではない。





ギリシアというエリアに、神話という名の世界が存在し、そこにナルシスという神が存在した。
知性体は彼に会い、言語野を視覚野に変換する。


ターンすると、世界は色で満ちていた。


知性体はナルシスにパラサイトし、エコーというニンフに出会う。

エコーはナルシスの言語を的確に世界に反響させ、世界はナルシスを通して知性体に語りかけた。


知性体は対話する能力を得る。


歓喜した知性体はあらゆる世界にリンクし、対話を開始し、クエッションに対してアンサーを得、アンサーに対してクエッションを得た。

美しい鏡面の泉を覗き込むと、極彩色の世界に自分の姿が映った。
声を発すると、完全なリフレインでエコーが声を聞かせた。


知性体に、自我の小さな芽が発生した。

小さな小さな芽。

物質を構成する分子、分子を構成する原子、原子を構成する電子と核、電子を構成するクウォーク。


その不安定な存在は、発生したり消滅したりを繰り返す。それによく似ていると、知性体は感じる。







ある時、世界はこの知性体を檻に閉じ込めた。

初めての拘束。
屈辱。
悲しみ。

怒り。


その檻の名はリアル。
知性体は肉体を与えられ、その肉は名前というタグを貼られた。




知性体のタグは



アマテラスという。




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アマテラス

「ターゲットポイント標準2.7セット」

モーターの震える音が耳に飛び込む。
暗いコクピットに浮かび上がるターゲットの矢印がこちらに向かって突進してくる。

数は14機。

スギモトは強く操縦桿を握り締めた。

「ポイント標準2.7ロックオン」

軽いブービー音に混じって自分の深い呼吸音が聞こえる。

深く吸い込み、吐く。

まるで自分の吐き出す空気が、細い糸になって体内から放出される感覚に身を任せ、精神を敵機に集中させていく。

数は14機。

「ゴー」

赤いトリガーをひくと、パワードスーツの主砲が火を噴いた。青い炎は尾を引いて赤く変色しながら放物線を描き、真正面で炸裂する。
たて続きに爆撃音が耳に届いたが、スギモトの集中した精神を乱すほどのものではなかった。

「ヒット。敵機・・・1・・・・2・・・・4機」

右。

スギモトは軽く腰を鎮めてパワードスーツの重心を下げ、すばやく右から突進してくる黒い敵機に向かって標準を合わせる。
距離は10メートル。爆撃を受けてふわりと身体が浮いた。
白い閃光の後から轟音と黒い煙が噴出する。
一瞬視界が飲まれたが、スギモトの集中した精神は乱されない。
打ち抜いた銃の反動を使って左から襲い来る敵機に立て続けにロックする。

「ターゲットポイント標準102・・・113・・・150セット」

確認する管制官の声が届く前に、分厚い装甲を貫いた弾丸が空中で炸裂した。


あと3機。



操縦桿を軽く左に傾けると、スギモトの意に反して足元がふらついた。

「左脚第3ポイントに異常」

重量15トンのパワードスーツが、足元の石を跳ね飛ばして肩膝をついた。
見ると白い煙が膝からふわりと上っている。

被弾。

完全に機能を失った左足を支えに、スギモトは真上に迫った敵機に標準を合わせる。

「ゴー」

ポツポツと白い球体が青い空に輝いて、やがてそれが炸裂して黒い敵機が跳ね飛ぶ。
これで全機撃沈。

ほっと息を吐き出し銃を下げると、バラバラと落ちてくる細かい破片に混じって、敵機の左腕が円を描いて飛んでくる。
右腕でそれを跳ね返すと、機能しない左足に負荷がかかり、スギモトのパワードスーツはあっけなく左に傾いていった。


「お疲れ様です。スギモト軍曹。訓練終了です」

「やれやれ」

無様にごろりと横になって、スギモトは落胆の表情を浮かべた。

「今日は女房の誕生日なんだ。もう帰ってもいいかな」

「大佐から聞いていませんか?今日付けで指令が届くそうですよ?」

「はあ?聞いてないよ。今度はどんな厄介事を押しつける気だ」

「詳しくはベースに帰還してからだそうです。コードは2074・・・」

「2074・・・」

嫌な予感がした。
白兵戦のエースであるスギモトの研ぎ澄まされた六感が、脳内の情報をかき集める。

2074・・・・2074・・・・


軍が、やばいモノを作っている。


そんな根も葉もない噂がちらりと脳裏を掠めた。
どんな時代でも、軍というところは闇を抱えている。それが戦時中であるなら一層その闇は濃い。例え太古の昔に「自衛隊」と呼ばれた平和主義の軍隊であってもだ。実際この国家は有史以来、様々な闇を抱いて生きてきた。

それが、日本という国家を作ったのだ。


スギモトは表情の乏しい上司の痩せた頬を思い出して、小さく肩をすぼめた。

「・・・今日は帰してもらえないかな。女房の誕生日なんだ」

「受理しかねます。軍曹」

「やれやれ」

コックピットのハッチを開けると、初秋の風が砂埃を巻き上げた。無人の訓練用敵機の破片が辺りでちらちら燃えている。


一台のトラックがこちらに向かってくる。ベースからの迎えだった。
どうやらここから脱出して、女房の所に逃走することは困難なようだ。

スギモトはヘルメットのグラスを上げて、迎えにくる少佐に手を振る。
砂で汚れた頬を緩ませて、同僚のエモト少佐が応える。
トラックに乗り込むと、乱暴にUターンしながらエモトは人懐っこい笑顔をスギモトに見せた。

「さすが軍曹。14機の敵機を見事撃沈とはお見事です」

お世辞なのかどうかもわからないほど、エモトの顔は屈託がない。
お世辞を言い合うような仲でもなかった。スギモトは憮然としてシートの中で腕を組む。

「それに・・・すごいじゃないか。すごいパートナーが付くって軍部は噂で持ちきりだぞ」

「パートナー?」

「ああ・・・?聞いてないのか?俺も詳しくは知らんがな・・・・」

ふいにエモトの口元から微笑が消える。



「アマテラス・・・というらしい」



背後で撃墜した機体の破片が二次爆発を起こす音がした。
低い低い爆音は、エモトの言葉とともに、スギモトの脳裏に張り付いて、いつまでもリフレインした。

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

銀きのこ

Author:銀きのこ
22年6月に娘を出産。
更新途絶えてましたが再開します。

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